自治体の限界「転居を把握できない」
100歳以上の高齢者が所在不明となったニュースが相次いで起きたことが記憶に新しいが、今回毎日新聞社の調査により、
355人もの乳幼児(0~3歳)が所在不明になっていることがわかった。調査の対象となったのは全国の主要74市区。「
表札のない家が増加し、転居を把握できない」、「
自治体に捜索権限がない」など自治体だけでは手に負えなくなっていることが要因となっているようだ。
調査は毎日新聞社が74市区に対しアンケートを行うというもの。市区町村では母子保健法に基づいた「乳幼児健診」が行われているが、中にはこの検診を受けない子どももいる。検診に来なかった家庭を自治体職員が訪問するのだが、時には「
住民登録地に住んでいない子ども」がおり、調査ではその人数を集計している。
乳幼児の所在不明が判明した市区は浜松市40人、津市24人、京都市、神戸市21人、さいたま市、佐賀市、東京都大田区各20人など35市区(同年度内に複数回未受診の子どもは重複)。26市区は「統計がない」と回答し、残る13市区ではいなかった。
冒頭にもある「表札がない」、「捜索権限がない」というのは“個人のプライバシーを守る”というのが目的であるため、自治体に限らず周りに暮らす人にとっても同様のカセができてしまう。結果、隣人にすら注意が行き届かなくなる。個人を守るための法が結果的に他人を見放してしまうことになりつつあるとは、なんとも皮肉な話である。
毎日新聞社
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