国の特別会計に焦点を絞った、事業仕分け第3弾2日目の28日も引き続き、蓮舫行政刷新大臣のマシンガンディベート炸裂!の感があった。
必ず外れる需要予測
この日の仕分けレシピのなかで、空港整備の甘い需要予測が特にやりだまに上げられた。空港整備をめぐる利用者予測と実績数の大幅なずれについて、仕分け人たちは厳しく追及を行った。
そこで例として引き合いに出されたのが、福岡県の北部に整備された北九州空港。同空港の利用者数予測は522万人だったのに対し、実績は117万人/平成21年度にとどまり、予測のずさんさが暴かれた。
蓮舫大臣のマシンガンディベートにキャリア官僚のおじさま達もタジタジ 北九州空港は、福岡県内2ヶ所目の国管理空港として4年前の平成18年に開港した。周防灘沖の人工島上に24時間運用可能な海上空港として建設されたが、年間30億円を超える赤字を毎年排出している。
永遠に黒字にならない福岡空港
では、福岡県内に設置されたもう一方の国管理空港・福岡空港はというと、羽田、成田に次いで国内第3位の発着回数を誇る空港であるにもかかわらず、やはり赤字だ。空港施設内を占める民有地などへの地代約84億円と、市街地に位置することからくる約70億円の環境対策費を併せた、年間約150億円を超える維持経費があるためだ。国交省発表の空港個別収支によれば、福岡空港は67億円/18年度の赤字だという。
福岡空港は、これら、巨額の維持経費の負担があることから、国内3位という発着回数が倍増しても黒字にならない。永遠に黒字化を望めない空港ということだ。
北九州空港の荷物を積み込むギャラクシーエアーラインの貨物機50キロ圏内に国管理空港2カ所の異常さ
そもそも、福岡県を中心に人口約600万人程度に過ぎない利用圏内に北九州、福岡と国管理の空港が、その間50キロ程度の距離で2つ並んで整備されていることが異常だ。
福岡県が吐き出す両空港の赤字を解消するには福岡空港を廃止し、北九州空港へ統合。「新福岡空港」として整備し、黒字化を実現する他に道はないとする識者の見方もある。試算によれば、統合によって利用者が5割低減しても、福岡空港を北九州空港へと統合する形をとれば黒字化は確実だという。
現在、「福岡空港構想・施設計画検討協議会」が、約2千億円の事業規模で、福岡空港への2本目となる新滑走路建設計画を進めている。永遠に黒字を望めない上に、福岡空港は平成13年以降発着数、乗降客数ともに減少している。そのような状況での、新滑走路建設は不要の投資との強い声がある。
空港特別会計を財源に、採算を考えることなく空港が建設されつづけ、日本列島は98の空港がひしめき合うことになった。そして、そのほとんどが赤字。
福岡県は、北九州、福岡の両空港をかかえ、全国に赤字空港が散在するなかでも、年間100億円近いという、特出した空港関連の赤字負担を、国民全体に負わせる問題の県、ということだ。
今後、空港の統廃合ということになれば、地方に国管理空港が2ヶ所設置されているという異常さが指摘されることは間違いない。ところが、一方で、地元財界には両空港を揃って維持したいという声がある。
「どうしても空港が2つ要る、というのであれば、ご自分の財布で両空港の巨額赤字をまかなってくださいッ!それがオトナの良識というものでしょう」と福岡県を代表する財界のおじさま方に対して、蓮舫行政刷新大臣のマシンガンが火を噴きそうだ。
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