日本テレビ系「妖怪人間ベム」は、ドラマがスタートする前は、アニメの実写化で特殊メークを使うということで、同じ枠だった「怪物くん」の二番煎じではないかという意見もあった。しかし、蓋をあけてみれば、初回の平均視聴率18.9%という結果に。今季のドラマでは、「南極大陸」「相棒 シーズン10」「家政婦のミタ」に次ぐ高視聴率だった。
適材適所
主演ベム役の亀梨和也には、「低視聴率王子」などという不名誉な称号もあったが、そんな声を吹き飛ばすような熱演だ。憂いを帯びた瞳は、人間になれない深い悲しみを湛え、「人間を見捨てることはできない。でなければ俺たちはただの妖怪になってしまう」という言葉が心に突き刺さる。
一方、ベラ役の杏。口が悪いながらも優しさを秘めている役だが、これまた適役だ。その演技の幅広さは、父の世界的スター渡辺謙の遺伝子を感じさせる。また、ベロは、芦田愛菜ちゃんと並び称せられる天才子役鈴木福君。このややおどろおどろしく、悲しい物語に、一服の癒しをもたらす役だ。あくまでも可愛らしい。
脇役の北村一輝も良い。今までのアクの強い役とは違った善人役。この人は、普通の役をやらせても強い印象を残す。やはり、うまい役者は一味違う。
このように、意外な俳優たちの組み合わせが、質の良いドラマを生み出している。そこには、細部にこだわった映像の美しさ、精巧な特殊メーク、俳優たちの個性をうまく引き出す演出と、総合的な熱意と努力が感じられる。
さて、この先ストーリーはどうなるのだろう。彼らは人間になれるのだろうか。このドラマの第2話、第3話が楽しみになってきた。
妖怪人間ベム
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