
21日午後2時24分、喉頭がんのため松岡克由という一人の男が亡くなっていた。その男とは誰あろう、かの落語家の7代目(自称5代目)
立川談志である。舌鋒鋭い発言と破天荒な行動で芸能界、政界を渡り歩き世間を湧かせ続けていた風雲児の死に落語界のみならずお笑い界全体に悲しみが広がっている。
しかし
談志が我々に残すのは悲しみなどではない。死してなお
談志が残すもの、それは勿論「笑い」である。その1つが日曜の夕刻、45年前から連綿と続く
日本テレビ系列の演芸番組『
笑点』である。テレビ・ラジオの普及により寄席の人気が急降下している危機的状況下、ならば寄席でやっている大喜利をテレビで再現し、こっちからテレビに出ていこうじゃないかと
談志が
日本テレビに持ち込んだ企画がきっかけで生まれたのが『
金曜夜席』という深夜番組で、人気を博した同番組が夕方の時間帯にシフトしたのが『
笑点』なのである。
そして最後の最後でこれからも笑わせ続けることになるのが戒名だ。2008年、咽頭がんの兆候が見つかる以前1991年には既に
談志は自分の締めくくりを考えていた。NPO法人
葬送の自由をすすめる会に再録されている
サンデー毎日の1991年11月17日号の緊急アンケート「あなたは死んだらどうしてほしいですか」でこう答えている。
オレが死んだときの葬式は、もうやり方が決まってるんだよ。戒名は立川雲黒斎家元勝手居士。お経は「きんぎょーェ、きんぎょー」って金魚売りの声でデキシーの音楽で送ってもらう。
「うんこ臭い」の名は
クレヨンしんちゃんの映画でよく知られているが発祥ではなく
遠藤周作が俳名で「雲谷斎」を使用していたのが先である。が、それを戒名にしてしまうのが流石、
談志。戒名が読み上げられる度、目にされる度笑いを誘う。早速テレビで「うんこ臭い」が発せられた。
談志もあの世でご満悦だろう。
金曜夜席 - Wikipedia会長コラム-著名人が選んだ自然葬 安田睦彦
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