
日本テレビの
『Mother(マザー)』は、「母性」をテーマにした、衝撃的な人間ドラマである。
家に居場所のない子供
小学校で教師をしている鈴原奈緒(松雪泰子)は、道木怜南(芦田愛菜)というちょっと変わった女の子の担任になる。
大学で渡り鳥の研究をしていたが、研究室が閉鎖され、やむなく教師になった鈴原先生は、子供が苦手だった。
怜南に、「どうして、小学校の先生になったの?」と聞かれ、「好きでなったわけじゃない」と答えている。
さらに、「先生の好きなものは何」と聞くと、「無口な子供」という。子供とどう接していいかわからないのだ。
そんな鈴原先生が怜南の面倒をみるきっかけになった出来事は―ある日、怜南がトイレで倒れて、保健室に運び込まれた。彼女の体にあるアザやキズから、保健室の先生は幼児虐待の可能性を指摘する。怜南の母親は恋人と暮らしており、怜南は彼から日常的に暴力を受けていたのだ。
しかし、児童相談所に相談しても確証を持ってこいと言われ、学校側も見て見ぬふり。
しかたなく、鈴原先生は怜南を家によんで、一緒に食事をする。
やがて、事件は起こる――怜南が暴力を受けた後に、ゴミ袋に入れて捨てられたのだ。
怜南の家に行き、不振なゴミ袋を開けた鈴原先生は愕然とする。
渡り鳥になった二人
元気になった怜南を連れて、渡り鳥を見に出かけた鈴原先生は、渡り鳥に
「私も連れてって!」と呼びかける彼女を衝動的に抱きしめ、
「誰も知らない場所で一緒に暮らそう。一生ウソをつき続けられる?私をお母さんと呼べる?」と問いかける。
鈴原先生はすべてを捨てて、怜南と行くあてもなく夜行列車に飛び乗る。『Mother』は、二人の逃亡劇である。
生みの親より、育ての親
先にスタートしているNHKの
『八日目の蝉』と、テーマが似ている。『八日目の蝉』のヒロイン希和子の場合は、赤ん坊の誘拐なので子供の意思はないが、鈴原先生のほうは、小学生とはいえ子供の同意がある。
怜南は、実の親より、優しい先生を選んだのだ。
そして、鈴原先生がここまでできるのは、彼女の生い立ちによるものだろう。親に捨てられた過去があったからだ。
自分の生徒に、虐待されている子供がいたとしたら、誘拐はしないまでも、親から引き離す方法を考えるだろう。しかし、中には子供を殺してしまう親もいるので、子供を助けることを第一に考えたら、逃亡もやむをえないのかもしれない…私にはこの子を救う方法が思いつかない。
もし、あなたが鈴原先生の立場だったら、どうするだろうか?
『Mother(マザー)』公式サイト
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