
7月3日(土)スタートの
NHK土曜ドラマ『鉄の骨』は、建設会社に勤める若手社員が、談合事件に巻き込まれつつも、自らの正義を貫こうと奮闘するドラマである。
原作は、
池井戸潤の建設業界の内幕を描いた問題作
『鉄の骨』(講談社刊)。
「第142回直木賞」候補にあがっており、
「第31回吉川英治文学新人賞」の受賞作だ。
“談合”とは?
“談合”とは、公共事業などで入札の際に、入札業者同士で事前に話し合って落札させる業者を決めたり、入札価格を調整したりすることである。
企業間の自由な競争を阻害する「カルテル」の一種として扱われている。
談合は「独占禁止法」に違反するほか、刑法の「談合罪(刑法96条の3)」で処罰される。
談合は“必要悪”か?!
2005年、公共事業は激減し、建設会社は淘汰されかかっていた。
建設会社の一谷組に入社3年目の富島平太(小池徹平)は、設計から突然、土木部営業課への異動を命じられる。
そこは大手ゼネコンの代表者が集まり、公共事業の割り振りを調整する「談合」の窓口だった。
着任早々平太は、国道バイパス工事の談合による受注を担当させられる。
課長の遠藤(豊原功補)と共に挨拶まわりに出かけた平太だったが、緊張感のない現場説明会に驚く。
緊張感がないのは、すでに入札が決まっているからだ。人一倍正義感の強い平太は、強い反発を覚える。
しかし、遠藤課長に、談合がなければ建設業界は立ち行かない、談合は「必要悪」であると諭される。
ある日、一谷組の談合を告発する怪文書が送られ、平太がその犯人と疑われる。
そして一谷組は、談合の事実を隠すため、工事受注からはずされてしまう。
談合は犯罪だが、建設業界の苦しい経営状態には同情できる部分もあり、簡単に“悪”と切り捨てるのはどうかとの疑問が残る。
主演に小池徹平
小池徹平が、自らの正義を貫こうと葛藤する若き建設マンを熱演している。
「生き残るためなら談合は許されるのか?!」
「会社がつぶれても法は守るべきか?!」
この難しい役に抜擢されたのは、
『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の演技が評価されたからではないだろうか?!
出演者には、直属の上司に豊原功補、談合を仕切っている常務に陣内孝則、おっとりした社長に笹野高史、平太の恋人に臼田あさ美、母役で松田美由紀らが共演している。
過去の土曜ドラマには、企業買収をテーマにした
『ハゲタカ』や、公認会計士の活躍を描いた
『監査法人』などがあり、いずれも面白かった。
なお、小池徹平の上司役の豊原功補は、『監査法人』でも主人公の上司の役柄だったため、イメージが少しダブる。
NHKの社会派ドラマは見ごたえがあるので、小池徹平の苦渋の末の決断が楽しみだ。
『鉄の骨』公式サイト
[PR]