有隣病院で2月以降8人が感染
東京都世田谷区の有隣病院で2010年2月以降、ほとんどの抗生物質が効かない
多剤耐性菌アシネトバクターに患者8人が感染し、これまでに4人が死亡していたことが東京都の立ち入り検査などにより発覚。2010年9月8日に会見でこのことを発表し、このうち2人の死亡については「
感染との因果関係は否定できない」としている。
東京都の話では、59~100歳の男女8人が感染し、5~8月に慢性疾患で寝たきりだった59~97歳の男女4人が死亡したとのこと。病院側から報告があったのは、帝京大病院が院内感染を明らかにした3日後の9月6日である。
これに対し病院側は「
院内感染ではない」との見方を示したが、医療安全課は、
8人のうち5人の菌が5月に検出されたことや、
同じ病棟で発生していることから「
院内感染が強く疑われる」としている。検体がすでにないことからこれ以上の検証は困難ということだが、感染経路や拡大の原因についても調べを進める方針である。
アシネトバクター菌は湿った土壌や水の中、健康な人の皮膚にも存在することのある細菌である。それこそどこにでもいる菌なので、健康な人が感染しても症状があらわれることはめったになく、重篤なケースに陥りやすいのは免疫力が落ちた高齢者に多いとされる。
多剤耐性菌はDNAが突然変異し抗生物質が効きにくくなったものをいうが、最近では「
NDM-1(New Delhi metallo-beta-lactamase-1)」という遺伝子を持った多剤耐性菌への注意が喚起されている。
これには強い副作用がある1~2種類の抗生物質以外がまったく効かないため、毒性の強い菌(赤痢菌など)にこの遺伝子が組み込まれた場合、その被害は今回の多剤耐性菌アシネトバクターの比ではないだろう。
有隣病院 - 社会福祉法人 東京有隣会
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