地球の物質とは異なる特徴の微粒子
2010年6月13日、小惑星探査機・はやぶさが帰還した。これまでアポロ群の小惑星イトカワから持ち帰ったとされる物質の分析がなされてきたが、1ミリグラム以上の物質は検出されず、予想以上に小さな微粒子であったため調査が難航していた。
そして帰還から3カ月半後の2010年10月5日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)がついに、
地球外物質の可能性がある微粒子数十個の存在を明らかにした。同容器内から見つかった地球のチリやアルミ粉などとは、
成分の特徴が異なるようである。
はやぶさ帰還までの経緯
はやぶさは2003年5月9日に宇宙航空研究開発機構(旧宇宙科学研究所)が打ち上げた小惑星探査機で、2005年にイトカワへ到達し、サンプルの採取を試みた。
飛行時間が予定より3年延長された上に故障した部位が多かったため大気圏への再突入に不安があったが、無事カプセルを切り離しオーストラリアのウーメラ立入制限区域内に帰還した。
7年60億キロメートルの旅を終えたはやぶさの最期の姿は彗星のように美しく、人々の影が映し出されるほどに夜空を照らした。
このサンプル採取の際、採取用の装置がうまく作動しなかった。帰還後0.01ミリメートル程度まで見える光学顕微鏡で分析するも地球外物質とみられるものは発見できなかった。そこで宇宙航空研究開発機構は特殊な小型のヘラを開発し、ヘラごと電子顕微鏡で観察する条件を整えた。この微粒子は2010年12月以降に全国の研究者へ分配される予定である。
科学や天文学に興味がなくとも、はやぶさの大気圏再突入の様子を見ればなにかしら感じるものがあることだろう。長い長い時間をかけて帰ってきたはやぶさが持ち帰った貴重なサンプルゆえに、新発見への期待が高まる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
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