責任はだれに?大統領の言動は宣伝?
チリ北部のサンホセ鉱山落盤事故で地下700メートルに閉じ込められた作業員33人が、予定よりも早い2010年10月13日に無事救出された。中には肺炎や目を患った人もいたが、健康状態はおおむね良好。現在はコピアポ市内の病院で療養中である。17日には全員退院できる見込みだ。今回の救出騒動はひと段落がついたが、まだまだ問題は残っている。
サンホセ鉱山の落盤事故はこれが初めてではない。
2004年、2007年にも同様の落盤事故が起きており、それぞれ1人が死亡しているのだ。
これは鉱山会社が資源増産のために坑道の構造を変えたためで、同鉱山があるアタカマ州の2000を超える鉱山群を管理するのが
監督官庁の地質鉱山管理局職員2人だけということもあり、管理不足が原因ではないかという意見も出ている。閉じ込められた作業員の家族の一部は
「安全管理を怠った」として8月下旬に鉱山会社の所有者と監督官庁を刑事告訴しており、救出後もわだかまりはとけないでいる。
14日に病院で作業員たちと対面したピニェラ大統領はこの件について
「労働者の尊厳を守り、安全基準やその施行を先進国並みにする」と断言。鉱山会社を「長い間、違法状態を続けていた」と強く批判したことが国民の共感を得て、
低迷していた支持率が上昇した。一方で国民の中には
「支持率上昇のためのパフォーマンスでは」という憶測も飛んでおり、政府への不信感を募らせた。
死亡者もなく作業員の安全が確保されたものの、この落盤事故の本当の修羅場はこれからなのかもしれない。
外務省:チリ共和国
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