
4月2日は、故忌野清志郎さんの60回目の誕生日である。ちょっとはにかんだ清志郎さんの笑顔が思い浮かぶ。そんな清志郎さんが、かつて歌った「サマータイム・ブルース」が今、にわかに脚光を浴びている。
「サマータイム・ブルース」
「サマータイム・ブルース」は、いわくつきの曲だ。1986年のチェイノブイリの原発事故を受けて、全世界で反核・反原発運動が盛んになった。ロック界にもその動きは飛び火し、清志郎さんが、エディ・コクランの同名曲に、日本語で反原発のメッセージを乗せたのがこの曲である。
しかし、なぜか「サマータイム・ブルース」とそれを収めたアルバムの「カバーズ」が突然発売禁止となった。発売元の東芝EMIはその理由を言わなかったが、出資企業の東芝が原子力産業の有力グループであることから、その関連が噂された。結局、「サマータイム・ブルース」と「カバーズ」は他のレコード会社から発売された。
清志郎さんは、「サマータイム・ブルース」の中で言う。「暑い夏に海に行ったら、そこに原発が建っていた。どうしてだかわからない。東海地震もそこまで来ているのに、増えていく。誰のためなのだろう。TVは『日本の原発は安全です』と言っているけど、根拠がない。税金払っているうちに原発が増えていた。そして、漏れていた」等々。
福島原発の大事故で、多くの人々がこの曲を思い出すことになった。レコード店によれば、事故後、「カバーズ」の売り上げが増え、在庫がないとのこと。また、Youtubeでも、同曲へのアクセスは17万件に上るという。
清志郎さんが今生きていたら、どう思っただろうか。歌で予言したものの、事故が起きた事を心から悲しんだ事だろう。そして、きっと、福島の人々を救うために、世界を巻き込む運動をしていたに違いない。優しさの中に強さを秘めて…
サマータイム・ブルース
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